夏はハチが大量に発生する季節です。以下のことを気をつけましょう!
年間30~50名の人が蜂に刺されてなくなっています。多くはアシナガバチとスズメバチによります。蜂刺傷患者は、7~10月に多く見られ、特に8月が最も多くなります。蜂刺傷の頻度は、気温が高く、降水量が少ないほど高くなると言われています。
蜂に刺されないためには
- 巣に近づかない、巣に石を投げたり、つついたりして蜂を刺激しない。
- 巣の前を急いで通らない、巣に振動を与えない。
- 巣の近くで芳香のある香水、ヘアスプレ-、その他化粧品を使わない。
- 白っぽい服を着る。(黒い衣服や花模様の服は、避ける)
- 蜂がいる場所で、熟した果実やジュ-ス等甘味料を飲まないこと。
- 洗濯物をとりいれる時は、蜂が潜んでいないかよく点検する。
- 駐車中の自動車の窓は、必ず閉めておく。
- 野外活動中にスズメバチ類の巣と突発的に遭遇し、見張りの蜂に威嚇や攻撃を受けた場合、大声で騒ぐことや、腕でハチ類を追い払う事は厳禁です。 姿勢を低くして巣から速やかに離れる事が重要です。
蜂刺傷の症状
1.蜂毒による中毒症状(薬理学的作用)
局所アミンにより生ずる刺傷局所の発赤、腫脹、疼痛は数時間で消失します。全身を何か所も刺されれば、数分で全身浮腫やヘモグロビン尿症、ショック状態など重篤な症状を呈することがあります。
・蜂毒の成分
ハチ毒の成分は、活性アミン、ポリメプタイド、酵素の3つ。
活性アミン
- スズメバチ :ヒスタミン、セロトニン、アセチルコリン
- アシナガバチ:ヒスタミン、セロトニン、ドバミン、ノルエピネフリン
- ミツバチ :ヒスタミン、ドバミン、ノルエピネフリン
*これらは、局所の疼痛、腫脹の原因
ポリぺペプタイド(低分子ペプチド)
- スズメバチ :スズメバチキニン
- アシナガバチ:アシナガバチキニン
- ミツバチ :メチレン、アバミン、MCD、ミニマイン
*メチレン、アバミンは、細胞膜に直接作用し、細胞内顆粒を放出。キニンは、一部、ブラジキニンと同じ配列をもつ
酵素
- スズメバチ :ホスホリパーゼA,ホスホリパーゼB
- アシナガバチ:ホスホリパーゼA,ホスホリパーゼB,ヒアルロニダーゼ
- ミツバチ :ホスホリパーゼA,ホスホリパーゼB,ヒアルロニダーゼ
*これらは、溶血作用、局所破壊作用をもつ
2.アレルギー症状
酵素(ホスホリパーゼAとヒアルロニダーゼ)が主要アレルゲンとなります。
即時反応
刺傷後4時間以内に発症します。重症では数分から、15分以内に発症します。
- 局所症状:刺傷部位に限局するか、支障部位を中心にやや広範に拡大する一過性の疼痛、発赤、腫脹。
- 全身症状:全身性蕁麻疹、粘膜・喉頭浮腫、さらに重症では呼吸困難、血圧低下、意識消失などのショック症状を呈する。
遅延反応
刺傷後4時間以上経過しても局所に持続する進行性の腫脹と紅斑。
蜂に刺された場合
- ミツバチの場合は、毒針の付け根にある毒袋をつぶさないように速やかに取り除く。
- 傷口の吸引や中枢側の躯血の効果は不明。
- 局所の冷却。
- 局所の疼痛・掻痒・腫脹に対して、抗ヒスタミン薬や消炎鎮痛剤の内服または外用、副腎皮質ステロイドの外用。
- 全身性蕁麻疹、気分不良等の全身症状が現れたら、直ちに出来るだけ近くの医療機関を受診する。
- 全身症状に対しては、エピネフリンの皮下注、その後副腎皮質ステロイドの全身投与。
蜂刺傷で大切なこと
アレルギー反応は、次回に起きた時に、より重篤な症状を呈します。全身性蕁麻疹、気分不良等の全身症状が生じた場合は、医療機関を受診しアレルギー検査を受けてください。
また、アナフィラキシー・ショックを起こした方は、アレルギー専門の医療機関にてエピペンを処方して貰ってください。