「アブ」「ブト」「蚊」は吸血する昆虫で、「蜂」は刺咬する昆虫です。 いずれの昆虫についても、長袖・長ズボンによる皮膚の保護は有効です。
また「ブト」「蚊」については、虫除けスプレーなどの昆虫忌避剤(ジエチルトルアミド)やピレスロイド系殺虫剤が有効です。ジエチルトルアミドの乳幼児への使用は、カナダ・アメリカでは制限されており、今後の安全性の検討が必要かと思います。
また「蜂」については、黒い衣類を避け、白などの明るいものを着用することや、甘い香りのする香水・整髪料の使用を避けること、ジュースの飲み歩きを控えることなどが言われております。それから「蜂」は、巣に近づいたり刺激をしたりすると攻撃してくるので、注意が必要です。
「アブ」「ブト」「蚊」に刺された場合、痒みに対しては抗ヒスタミン剤の内服を、そして皮膚の炎症に対してはステロイド剤の外用を行います。「蜂」についても、局所の症状については同様ですが、アナフィラキシー・ショックなどの全身症状に対しては、それに応じた治療が必要になります。
「アブ」「ブト」「蚊」に刺された場合、いつまでも痒みが遷延して痒疹といわれるしこりになることがあります。また掻いた所から細菌が入って、「トビヒ」などの感染症を生じることがあります。
また稀ではありますが、「蚊」に刺された後に発熱が続き、刺された所に潰瘍が生じるような例では、後に悪性組織球症や悪性リンパ腫を発生するケースがあり、注意が必要です。
「蜂」刺されについては、毎年国内で40名以上の方が蜂に刺されて亡くなっていると報告されております。これは、何度か蜂に刺されているうちに、蜂毒に対する抗体が体に出来てアナフィラキシー・ショックを生じるためです。今までに「蜂」に刺されて全身性の蕁麻疹が出た人や、気分不良を生じた人は、特に気をつけなければなりません。